不動産基礎知識

あ行

アスベスト

石綿(せきめん・いしわた)のこと。 繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。
しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されている)。
建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。

意思能力(いしのうりょく)

法律行為を行なったときに、自己の権利や義務がどのような変動するかを理解するだけの精神能力のこと。民法上明文の規定はないが、このような意思能力を持たない者(=意思無能力者)の行なった法律行為は無効とされている(判例)。
意思無能力者とは、具体的には小学校低学年以下に相当する精神能力しか持たない者と考えられる。通常、法律行為が無効であれば、その無効は契約等の当事者の誰からでも主張することが可能とされており、意思無能力者の行なった法律行為も同様である。

一般媒介契約(いっぱんばいかいけいやく)

媒介契約の一つの類型。 一般媒介契約とは、次の1.および2.の特徴を持つ媒介契約のことである。
1.依頼者(すなわち売主等のこと)が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由である。
2.依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することが原則的に自由である。

オーナーチェンジ

賃貸住宅の所有者が、賃借人が入居したままその建物を売却することをいう。
購入者は新たに賃借人を見つける必要がなく、投資用のワンルームマンションでよく使われる方法である。

オープンハウス

本来は、企業のオフィスや生産施設を、顧客・取引先・投資家に見学させて、企業に対する理解度を高めるという企業広報活動のこと。
不動産業界では、販売しようとする物件の内部を一定の期間、担当営業員が常駐して、買い希望客に公開するという販売促進活動を指す。

か行

壁心(かべしん)

建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のこと。「壁芯」と書くこともある。
この「壁心」の考え方で計算すると、壁の厚みの分が床面積に加算されるので、実際に使用可能な部分の床面積よりもやや大きな床面積となる。
建築基準法では、建物の床面積とは「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積」であると規定しているので、建築基準法は壁心の考え方を採用しているということができる(建築基準法施行令2条1項3号)。 なお、この「壁心」と異なる床面積の測定方法として「内法(うちのり)」がある。

還元利回り(かんげんりまわり)

資産の収益から資産価格を算出する際に用いる利率をいう。
資産価値は、発生するであろう収益額を現在価値に割り戻して総計した額に等しいと考えられているが、このとき現在価値に割り戻すために用いる利率が還元利回りである。
その値は、資産の種類や条件によって異なるが、おおむね一般的住宅では5~7%、事業用は8~10%が目安とされている。逆に、資産価格と収益額が与えられれば還元利回りを求めることができるが、利回りが高いほど収益性が高いと判断してよい。

関東間(かんとうま)

主に関東で用いられてきた、日本の伝統家屋の基本モジュールのこと。京間よりもやや狭い。「田舎間」とも称される。
日本の伝統家屋を設計する際に基本となる柱の間隔(柱の中心から柱の中心までの距離)のことを「1間(いっけん)」という。関東間とは、この1間を「6尺」(約181.2cm)とする家屋のことである。

管理費(かんりひ)

分譲マンションにおいて、区分所有者が管理組合に対して毎月納入する金銭であって、共用部分や建物の敷地などの管理に要する経費に当てるために消費される金銭のこと。具体的には、管理会社に対する管理委託費や管理組合の運営費用などの経費に充当される。

京間(きょうま)

主に関西で用いられてきた、日本の伝統家屋の基本モジュールのこと。
関東間よりもやや広い。京都、大阪を中心に主に関西以西で用いられる。
日本の伝統家屋を設計する際に基本となる柱の間隔(柱の中心から柱の中心までの距離)のことを「1間(いっけん)」という。京間とは、この1間を「6尺5寸」(約197.0cm)とする家屋のことである。

景観法(けいかんほう)

良好な景観の形成を促進するための施策を定めた法律で、2004年6月に公布、同年12月から施行された。
この法律は、都市部だけでなく農村部等も対象にして、地域の個性を反映した柔軟な規制等によって景観の形成を図るための制度を定めており、景観に関する基本法とされる。

契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)

売買契約や請負契約の履行において、買主・注文者に引き渡された目的物の種類・品質・数量に関して契約内容と異なる際に、売主・請負人が買主・注文者に対して生じる責任である。
買主・注文者は責任を負う売主・請負人に対して履行の追完請求、代金・報酬の減額請求、損害賠償請求もしくは契約解除権を行使することができる。行使の際には原則として、不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知しなければならない。
平成32年の民法改正により、売買の目的物に隠れたる庇護があった時の責任等の特別の規定が削除され、目的物が契約に適合しない場合の規定に統合されている。

さ行

敷地利用権(しきちりようけん)

分譲マンションのような区分所有建物において、区分所有者が持っている土地に関する権利のことを「敷地利用権」という(区分所有法第2 条)。
区分所有建物では、その敷地は区分所有者全員の共有とされている。従って、敷地利用権とは、区分所有者が持っている「土地の共有持分」といい換えることができる。

重説(じゅうせつ)

「重要事項説明」の略で、宅地建物取引業者が、売買契約・賃貸借契約の締結に先立って、買主・借主に対して契約上の重要な事項を宅地建物取引業法第35条にもとづき説明すること。
この重要事項説明において宅地建物取引業者が買主・借主に対して交付する書面を「重要事項説明書」という。
建築条件付き土地(けんちくじょうけんつきとち)建て売りといえば、土地とそこに立つ住宅がセットで販売されるものだが、建築条件付き土地の場合は、売り建てともいうように、土地を売るに当たって、一定期間内に特定の建設会社(土地の売主とその子会社、および販売代理人となる宅建取引業を併営する建設業者)と建築請負契約を結ぶことを条件にしている。

修繕積立金(しゅうぜんつみたてきん)

管理組合が長期修繕計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。
区分所有者は、管理組合に対して、通常、管理費と特別修繕費を納入するが、この特別修繕費を毎月積み立てたものが「修繕積立金」である。

セットバック

1. 建物の上部を下部よりも後退させること。
2. 2項道路(建築基準法第42条第2項の規定により道路であるものとみなされた幅4m未満の道のこと)に面する土地では、次の1)または2)の範囲に建物を建築することができない。
1)その道路の中心線から水平距離2mの範囲
2)その道路の片側が崖地、川、線路等である場合には、その崖地等の側の道路境界線から水平距離4mの範囲
つまり、2項道路はその幅が4m未満であり、そのままでは防火等の面で十分な道の幅を確保することができないので、2項道路を含めて4mの範囲内には、建築物や塀などを造ることを禁止し、4mの空間を確保しようという趣旨である。 その結果、2項道路に面する土地では、自分の土地でありながら、一定の部分には建築をすることができないこととなる。これを不動産業界ではセットバックと呼んでいる(セットバックとは英語で「後退」という意味である)。
このセットバックについて次の点に注意が必要である。
ア)セットバックしなければならない部分には、建築物を建築できないのみでなく、門や塀や擁壁を建築することもできない。
イ)セットバックしなければならない部分は、容積率や建ぺい率を算出する場合には、敷地面積から除外される。

専属専任媒介契約(せんぞくせんにんばいかいけいやく)

宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)のうち、専任媒介契約であって、かつ依頼者は、依頼した宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買等の契約を締結することができない旨の特約が付いた契約をいう。

専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)

宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)であって、媒介の依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買または交換の媒介または代理を依頼することを禁ずる媒介契約をいう。

た行

宅地造成(たくちぞうせい)

一般的には、土地を宅地としての機能を備えたものとするために、傾斜をなくすための切り土・盛り土等の工事、擁壁の設置工事、排水施設の設置工事、地盤の改良工事などを行なうこと。こうして形成された宅地は「造成地」と呼ばれる。

抵当権(ていとうけん)

債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。
債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。

抵当権の実行(ていとうけんのじっこう)

ある不動産に抵当権が設定されているとき、債権が弁済されない場合には、債権者はその抵当権にもとづいて、担保である不動産を競売し、その代金を自己の債権の弁済に充てることができる。このように債権者によって抵当不動産が競売されることを「抵当権の実行」という。

登記識別情報(とうきしきべつじょうほう)

不動産について登記が完了した際に、法務局から登記名義人へ交付される登記識別情報通知書に記載されている暗証番号(12桁の数字とアルファベットを組み合わせたもの)で、次に権利を移転したり抵当権を設定したりするときに必要となる、重要な書類である。
以前は「登記済証、権利証」と言われるものでしたが、不動産登記法改正により(平成17年)3月7日より登記識別情報になりました。

登記事項証明書(とうきじこうしょうめいしょ)

一筆の土地、一個の建物ごとに記録されている登記記録の全部または一部を、登記官が公的に証明した書面のこと。
従来は、登記記録(登記用紙)が紙で調製されていたため、その写しを交付しており、これを登記簿謄本と呼んでいた。
しかし、現在は大半の登記所がコンピュータ化されたため、登記記録は磁気ディスク上に調製されている。この電磁的な登記記録の記載事項を公的に証明したものが、登記事項証明書である。

道路位置指定(どうろいちしてい)

特定行政庁が、私道の位置を指定することを「道路位置指定」と呼んでいる(建築基準法第42 条第1 項第5 号)。
この「道路位置指定」を受けることによって、私道は「建築基準法上の道路」となることができる。
従って、私道のみに接する土地で建築をしようとする際には、まず私道について「道路位置指定」を受けることが必要である。
「道路位置指定」を受けるためには、その私道が建築基準法施行令第144 条の4 の基準を満たすことが必要である。この基準によれば、私道の幅は少なくとも4m(袋地の場合には6m)であることが必要とされている

な行

2項道路(にこうどうろ)

建築基準法第42 条第2 項の規定により、道路であるものと「みなす」ことにされた道のこと。
「みなし道路」とも呼ばれる。
建築基準法第43 条では、建築物の敷地は「建築基準法上の道路」に2m 以上の長さで接していなければならないと定めている。
ここでいう「建築基準法上の道路」は原則として幅が4m 以上あることが必要とされている(建築基準法第42 条第1 項)。
しかしながら、わが国の現況では、幅が4m 未満の道が多数存在しているため、次の1.~3.の条件を満たせば、その道を「建築基準法上の道路とみなす」という救済措置が設けられている(建築基準法第42 条第2 項)。
1.幅が4m 未満の道であること
2.建築基準法が適用された際にその道に現に建築物が立ち並んでいたこと
3.特定行政庁(知事や市長)の指定を受けたことでの救済措置による道路のこと
これらを、その条文名をとって「2 項道路」と呼んでいるのである。
こうした2 項道路に面している土地については、道路中心線から2m 以内には建築ができないという制限(セットバック)があるので特に注意したい。

根抵当(ねていとう)

継続的な取引によって生じる不特定の債権を担保するための仕組みをいう。
契約によって極度額を定め、増減し変動する多数の債権について、極度額の範囲内で担保することができる。これらの債権は将来確定するものであるが、債権が消滅しても、根抵当権は極度額の範囲で存続することとなる。

農地法(のうちほう)

農地の権利移動や転用の制限、利用関係の調整、遊休農地に関する措置などを定めた法律。昭和27(1952)年に制定された。
耕作者の地位の安定と農業生産の増大を図り、食料の安定供給の確保に資することを目的としている。
平成21(2009)年の法改正によって、農地の賃貸借に関して大幅に制限が緩和され、農業生産法人だけでなく、一般の法人、NPO 等が、農地を借りて営農できるようになった。
一方、農地について所有権、賃借権等を有する者は、その適正で効率的な利用を確保する責務を負う旨の規定も追加された。

は行

媒介(ばいかい)

不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つでもあり、不動産の売買・交換・賃貸借について、売主と買主(または貸主と借主)との間に立って取引成立に向けてなす活動がこれに該当する。
なお、「仲介」は「媒介」と同じ意味である。

文化財保護法(ぶんかざいほごほう)

文化財を保存・活用することを目的とし、従来の「国宝保存法」「史跡名勝天然記念物保存法」などを統合して昭和25年に制定された法律。
土地に埋蔵されている文化財(埋蔵文化財)については、文化財保護法第57条の2により「周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事等の目的で発掘しようとする場合には、着手する日の60日前までに文化庁長官へ届け出なければならない」と定めている。
また埋蔵文化財に関連して、文化財保護法第57条の5では「土地の所有者・占有者が出土品の出土等により、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡を発見した場合には、その現状を変更することなく、遅滞なく文化庁長官に対して届け出なければならない」と定めている。

ま行

モジュール

建築生産における規格化・標準化を図るための基準寸法のこと。または、構成材のサイズを定めるために、ある法則で秩序だてられた寸法組織のこと。
一般的には尺である91cmを基本寸法とするが、最近は1mを基本寸法とするメーターモジュールが採用されるケースが増えてきている。

や行

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ら行

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わ行

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